• 06 Miscellaneous

    Sly & The Family Stone そして Rose Stone の思い出

    もうかれこれ40年ほど前でしょうか。新聞配達の給料で ”Woodstock” のサントラ盤を買い、数多くの60年代のアーティストに夢中となりました。その中でも Sly & The Family Stone はジミヘンやジョー・コッカーとはまた違った光をはなっていました。NHK-FM の「サウンドストリート」ではじめて聴いた “Family Affair” 。その時のホストは渋谷陽一さんだったか、山下達郎さんだったか、または佐野元春さんだったか忘れてしまいましたが、そのドライでクールなサウンドの虜となりました。 上京してからは下北沢の輸入レコード屋さん FLASH に通い Sly のレコードを買い集めました。 “There’s A Riot Goin’ On” などは擦り切れるほど聴きました。60年代後半、Sly Stone の音楽はロック、ジャズなどジャンルを超えて多くのアーティストに大きな影響を与えました。しかし70年代以降、過度のドラッグにより表舞台から消えてしまいました。そういえば1989年に出版されたマイルス・デイヴィスの自伝 “Miles – The Autobiography” にもそのあたりのことが書かれていました。YouTube では2000年代の Sly のパフォーマンスを見ることができます。ファンとしては年老いた姿に哀愁が感じられ目頭がアツくなりますが、その音楽は相変わらずかっこよいです。 Montreux 2007 の “Family Affair” でヴォーカルをとっている Lisa はSly の妹 Rose Stone(The Family Stone のヴォーカルでキーボーディスト) の娘さんです。 Rose Stone といえば、私は個人的な思い出があります。 14,5年前のことですが、仕事で函館へ行ったときのことです。自宅から函館までは車で6時間以上かかります。連泊が必要な仕事だったので、リーズナブルでこじんまりとしたホテルに部屋をとっていました。すると、信じられないことにそのホテルに Rose Stone が泊まっていたのです。フロントのスタッフが、外国人団体客の名簿をカタカナで手書きしてフロントの台の上に貼り付けていたのですが、チェックインのときにその名簿にある「ローズ・ストーン」の文字が目に入ったのです。まさかと思いましたが、調べてみると、その週末に函館でゴスペルコンサートがあり、Rose Stone が所属するクワイアが来日していたことが分かりました。 昼間の仕事を終えると私はまっすぐホテルに戻って本当に Rose Stone が現れるだろうかとドキドキしていました。小さなホテルで、部屋にはテレビも無く、寝る以外には使えないようなところでした。なので、寝るまでの時間、宿泊客はほとんど皆、小さなロビーの大型丸テーブルのところに集まります。私もその丸テーブルについて本を読んでいました。 しばらくするとリハーサルを終えてきたのでしょうか、クワイアのメンバーがどやどやとホテルに戻ってきました。歌手と思われるおばさんたち、バンドマンまたはスタッフと思われる人たち。その中に Rose Stone がいました。スーパースターがなぜ私と同じ安ホテルに泊まっているのか、すごく不思議な感じでした。 Rose Stone も含めクワイアの人たちは外へ飲みに行くでもなく、ロビーの丸テーブルに一緒について、静かにおしゃべりをしたりしていました。私は Rose Stone に話したいこと・聞きたいことが山程ありました。子どものころから Sly & The Family Stone の大ファンです。お兄さん(Sly Stone – 本名 Sylvester Stewart)はお元気ですか。まだ音楽活動をしているのですか。あのかっこいいファンクミュージックはどのようにして生まれたのですか。日本にもまだまだたくさんのファンがいることをファミリーストーンのメンバーの方々に伝えてください。などなど。 私は目の前で座っている Rose Stone に話しかけることができませんでした。コンサート前の練習で疲れているだろうと遠慮したこともありますが、一番の理由は上手に話しかける自信が無かったこと。英語が使えなかったことです。もしあの時、英語が話せていたら、ファミリーストーンの面白い話を生で聞けたかもしれない。千載一遇のチャンスを逃してしまいました。この経験は、私が英語の勉強を続けている理由のひとつになっています。 こちらの動画はプリンスによるカバーです。かっこ良すぎます。フルの音源はないのだろうか。あれば是非聴きたいです!

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    Khruangbin

    Khruangbin(クルアンビン)はテキサス州ヒューストン出身のバンドです。様々なワールドミュージックの要素がつまった魅惑的な(ちょっと怪しげな)ファンクサウンドがくせになります。ベースのローラ・リー・オチョア(リージー)、ギターのマーク・スピア、ドラムスのドナルド・”DJ”・ジョンソン・ジュニアのたった3人とは思えないほど厚みのある音。YouTubeにアップされているインタビュー動画によると、マーク・スピアとDJ・ジョンソンはヒューストンの教会で一緒に演奏していたそうで、後にマークが友達を通じて出会ったリージーにベースを勧め Khruangbin が誕生したそうです。 わたしは趣味でドラムを叩くのですが、DJのドラムは個人的にドハマリです。あまり派手な印象はありませんが、タイトでかっこいいです。キーボードの演奏もしっとりと聴かせます。YouTube には Khruangbin のライブ映像がたくさんアップされています。次の来日公演は札幌まで来てほしい!

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    Billie Holiday, Lady Day ビリー・ホリディ

    ビリー・ホリディ Billie Holiday(1915-1959)はフィラデルフィア出身のジャズ・シンガーです。リンク先のオフィシャルサイトでは、バイオグラフィーや曲のサンプル、歌詞、各種メディアを見ることができます。 初めて彼女の歌を聴いたのは子どもの頃、地元にいたヒッピー(死語?)くずれのレコード屋さんの店長にレコードを聴かせてもらったときでした。その時はジャズのことはよく知りませんでしたが、独特な歌声に魅了されたものでした。 “God Bless The Child” は代表曲の一つで、数多くのアーティストにカバーされてきました。曲調がゴスペルっぽくていい感じです。私はアニタ・オディ Anita O’Day のしっとりした感じのバージョンも好きですが。”God bless the child that’s got his own.” 「神様は自分で稼ぐ子を祝福してくださる」という歌詞は、ビリーが母親にお金を借りに行った時にケンカとなり、母親から言われた言葉だそうです。 購読している The Japan Times Alpha 2/4号の Life & Culture シネマ倶楽部ページで映画 “The United States vs. Billie Holiday” (リンクは映画のトレイラーです)をとりあげてくれています(ありがとう Alpha! )。早く映画が観たい! この映画の中心とも言える曲のタイトル「奇妙な果実」 Strange Fruit とは、リンチを受けて殺害され、木に吊るされたアフリカ系アメリカ人たちのことを歌っているのです。この曲が人種差別に対するプロテスト・ソングであるとして彼女はFBIに危険視されます。 ちょっと話が逸れますが、名曲 “A Change Is Gonna Come” のリリース直前に謎の銃弾に倒れた「ソウルの帝王」サム・クック Sam Cooke や、 “Power To The People”, “Imagine” のジョン・レノン John Lennon (熱狂的ファンによって射殺されてしまった)など、広く社会変革を訴えたアーティストたちもFBIの監視対象になっていたという話を何かで読みました。”A Change Is Gonna Come” ビリーじゃありませんが、こちらも名曲なので動画を貼ってしまいました。 これを機会にビリー・ホリディをまた聴き直したくなりました。できるだけ歌詞をしっかりと聴いて彼女の生きた時代を想像しながら。 下のアマゾンのリンクは私が持っているCD3枚組 The Ultimate Collection です。オリジナル・アルバム8枚分が収められています(数曲カットされています)。私が買ったときよりも値段が上がってしまいました(それでもアルバムをそろえるよりずっと安いですが)。個人的なおすすめはディスク3に収められているアルバム “Lady Sings The Blues” です。 お読みいただきありがとうございました。