杉田敏さんの現代ビジネス英語
杉田敏さんはNHKラジオ講座の人気講師でした。多くの方が様々なところで紹介していると思いますが、私も杉田敏さんから多くを学ばせていただいている一人なので少し教材の紹介をさせていただきたいと思います。
杉田さんは1987年から2020年まで、「やさしいビジネス英語」(ちっともやさしくなかったと評判)、「ビジネス英会話」「実践ビジネス英語」と番組は変遷していきましたが、常にビジネスや国際社会のホットな話題をとりあげて最新の英語口語表現をリスナーに届けてくれました。私も「ビジネス英会話」のころから10数年、番組を聴いていました。
現在は残念ながらラジオ講座の講師は引退されましたが、NHK出版から年に4冊のペースでテキストが出されています。ラジオ放送こそありませんが、レッスンの構成はラジオテキストの時とほぼ同じです。ただ、テキストの大きさがB5版と少し大きくなったので、私のような老眼が入った者にも優しいつくりとなっています(笑)。音声ダウンロード付きです。
この音声DLブックのテキスト構成は、1冊に4レッスン、1レッスンにつき6つのビニェット Vignette(6つ目はレッスンのレビュー)となっています。1つの Vignette は1分少々。見開き2ページで左に英文、右に日本語の対訳となっています。
Vignette はグローバル企業の社員同士の会話で作られています。登場する社員はダイバーシティを意識して様々なバックグラウンドを持つ人々です。1分程度の会話のやりとりですが、内容は盛りだくさんで多くの情報をインプットすることができます。
英語を勉強している人々からよく「日本人は英語ができない」と聞くことがあります(本当かどうか分かりませんが)。しかし私は、英語の技術が無いというよりも、話す内容を持っていない(というか自分の意見が無い)というケースを指していることが多いのではないかと思うのです。たとえ技術的に拙い英語であったとしても、自分の中に相手に伝えたいことがある、表したい意見があるという状態ではじめてコミュニケーションが成立すると思うのです。外国の方とお話する中で、物事に対する自分の関心の低さ、意見の無さを痛感することがしばしばです(自分だけ?)。
そういう意味でこのテキストのレッスンは、英語表現はもちろんですが、最新のトピックについての知識や問題意識をもたせてくれる優れた教材だと思います。実際の英会話の場面ですぐに活用できる表現が満載で、英語を使ったコミュニケーションスキルを伸ばすのにとても役立ちます。
私の活用法です。
- まず、レッスン最初の「今回の内容」を日本語で読んでざっと頭に入れます。
- テキストを見ないで Vignette の音声を聴きます。聞き取れない(理解できない)ところがはっきりするまで音に集中します。
- テキスト見て音声を聴きます。
- 日本語の対訳を見ながら音声を聴きます。聞き取れなかった(理解できなかった)ところがはっきりします。
- Words and Phrases を聴きます。知らない単語や表現は繰り返し紙に書いて覚えます。
- Word Watch を確認します。
- Vignette のテキストに戻って何度もシャドウイングします。最初はテキストを見ながら、徐々にテキストを見ないでやります。
- 右ページの日本語対訳を見ながらシャドウイングします。
- 音声を止めて、日本語対訳を見ながら、英語で言えるまで練習します。
- 時間があるときには、ディクテーションします。(音声を聴いて紙に英文を再現します)
テキストの「はじめに」や各レッスンの終わりにある「今回のビニェットから」というコラムもいつも楽しく読ませていただいています。また、杉田敏さんが様々な場所で紹介してくださっていた本など面白いものがたくさんありました。別の機会に書きたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。ではまた。
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