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アパートの鍵貸します The Apartment

ビリー・ワイルダー監督の傑作映画。1960年、作品賞・監督賞などアカデミー賞を5部門受賞しました。

主演は名優ジャック・レモン(役名C.C.バクスター)とシャーリー・マクレーン(役名キューブリックさん)です。

この映画を初めてみたのは、もう40年近く前のこと。私は田舎育ちで近くに映画館がなかったのですが、NHK教育テレビで「世界名画劇場」という番組があり、そこで毎月放映される名画を楽しみにしていました。「アパートの鍵貸します」(The Apartment)もビデオ(ソニーのベータ!)に録画しました。

白黒映画ですし派手なアクションがあるわけではありませんが、軽快な音楽となによりジャック・レモンのセリフ回しの軽快なテンポ、シャーリー・マクレーンの可愛らしさにぐいぐい引き込まれて、笑いあり、ペーソスありで、「これぞ映画だ」と時間を忘れ見入った記憶があります。

以来、何度も何度も見たくなり、ビデオテープがだめになるくらい見ました。その後、働くようになってからは給料で和田誠さんのイラストと文章がついたレーザーディスクを購入しました。レーザーディスクがだめになってからはDVDで買い直し、今もたまに見ています。90年代にマッキントッシュを購入してインターネットが利用できるようになり、スクリプトも簡単に閲覧できるようになりました。(私にとってインターネット最大の効用は、歌詞と映画のスクリプトを確認できるようになったことかもしれません!)

ストーリーは単純です。一流の保険会社に就職した社員(バクスター)は自分のアパートを上司の情事に利用されているうちに出世していくのだが、、、。結構、安いソープオペラみたいな感じですが、こんな名画に仕上がっているのは、監督と脚本の力なのでしょう。

10数年前に James Liptonが司会をつとめるActor’s Studio Interviewという番組に(こちらもすばらしいシリーズ番組でした)ジャック・レモンが登場しました。ハーバード大卒の秀才で、おもしろおかしいコメディアンというイメージを持っていましたが、アルコール依存症と闘っているとカミングアウトした場面がありしんみりとしてしまいました。

『アパートの鍵貸します』には洒落たセリフがたくさんでてきます。例えば自殺未遂のキューブリックさん(バクスターは彼女にずっと片思い。でも上司の愛人という設定)を看病しながら励ますセリフ。

You know, I used to live like Robinson Crusoe; I mean, shipwrecked among 8 million people. And then one day I saw a footprint in the sand, and there you were.

ねえ、オレ、ロビンソン・クルーソー(無人島暮らしの話の主人公)みたいな暮らしをしていたんだ。つまり800万人の海で難破して(当時のニューヨークの人口)。でもねある日、砂浜に人の足跡があるのを見つけた。そうして君と出会ったんだ。

絶望しているキューブリックさんに、恋の相手があなたみたいな人だったら良かったと言われて苦し紛れに言うセリフ。

That’s the way it crumbles…cookie-wise.

うまく訳せないのですが「世の中そんなものさ。ほらクッキーのやつみたいな。」

このセリフの裏には、That’s the way cookie crumbles. という慣用表現があって、何か悪いことが起こったときに「クッキーはそんな風にくだけてだめになるじゃん」→「世の中そんなもんだよ(嘆いてもしょうがないさ)」のような意味らしいです。

ジャック・レモンはこの映画の中で -wise言葉を多用していて、独特のリズムを生み出しています。意味は「〜的な」「〜みたいな」みたいな感じでしょうか。もしかしたら当時の若者言葉を揶揄しているのかもしれません。

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Let's learn about wonderful history and culture of Japan together!  全国通訳案内士(英語) 英検1級

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