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全国通訳案内士一次試験の「日本地理」
すでに一次試験を受験した経験のある方には必要のない情報かと思いますが、全国通訳案内士の一次試験には、外国語の他に、「日本地理」「日本歴史」「産業、経済、政治及び文化に関する一般常識」そして「通訳案内の実務」という科目があります。 このうち、もっとも骨の折れたのが私の場合は「日本地理」でした。 「日本歴史」はある程度自信があったのと、「通訳案内の実務」は出題範囲が狭くすぐに準備できることから(試験当日この考えが甘かったことを知りました)、受験を決めてからの約3か月間は、「日本地理」と「一般常識」を集中的に勉強することにしたのです。(英語の筆記試験は英検1級枠で免除でした) 私は一般的な地理の知識はある程度持ち合わせているのですが(大学受験程度)、この科目は少し違います。全国通訳案内士試験の地理は「外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する地理」のうち「外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問うもの」となっているからです。 ざっくりいうと「日本の観光資源」についての試験科目ということになるでしょう。学校で使う教科書のようなものでは対応できません。 「日本地理」の試験時間は30分。100点満点で合格基準点は70点です。マークシート方式です。(試験のガイドラインはこちら) 最初に過去問題をやってみましたが、案の定、半分も正答できませんでした。(試験の過去問題はJNTO(日本政府観光局)のサイトで公開されています) 私が使用した日本地理の対策本は2冊あります。1冊目はユーキャンの『全国通訳案内士 速習テキスト&予想模試』です。この本の日本地理のパートを何度か繰り返し読みました。この本は過去に出題されたものを中心に都道府県ごとにコンパクトにまとめた本ですので、勉強すると過去問題の正答率は上がります(当たり前?)。しかし公開されている過去問題とこれから自分が受験する問題が重なることはあまり考えられないので、この本だけでは対策は不十分でしょう。ただ、試験の全体的な枠組みと、日本の観光資源の基礎基本のようなものは何となく見えたので、その意味で役に立ちました。最初の1冊としておすすめです。 購入した2冊目は、『旅地図 日本』(昭文社)です。こちらは全ページフルカラーの大型本です。日本全国の名所・観光スポットが豊富な写真、イラスト、紹介文、そしてもちろん地図とともに掲載されています。「北海道」「東北」「中部」「関東」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の大きな7エリアをそれぞれより小さなエリアに分けて掲載されています。世界遺産や日本の島詳細マップなど特集ページもあります。情報量が膨大ですべて頭に入れるのは不可能かと思いますが、「日本地理」の出題傾向として、北海道から順に東北、中部、関東といった具合にエリアごとに出題されることが多いので、この本は試験対策に向いているかと思います。 ただ、勉強を進める中で不便に感じた点もあります。前述のようにこの本はエリアごとに分けて掲載されているので、47都道府県ごとに観光地を把握したいときには少し見づらい部分がある点です。 この本には競合本があります。『旅に出たくなる日本地図』(帝国書院)です。私は書店でこの2冊を見比べてずいぶんと迷いました。昭文社も帝国書院も地図には定評のある優れた出版社です。どちらか1冊用意して試験対策をされることをおすすめします。 ネットも利用しました。有名な観光地の公式サイト、環境省の国立公園のサイト、文化庁の日本の世界遺産一覧のサイト、また、試験対策で有名なハロー通訳アカデミーのサイト(こちらは膨大な情報を発信してくださっています)などなど。 また、iPadのアプリも利用しました。特に「あそんでまなべる」シリーズは国立公園、山地、河川、平野・盆地、岬などを感覚的に覚えるのに本当によくできています。開発者の方に感謝です。それから Book Creator というデジタル本を作るアプリにはまってしまい自分で簡単な世界遺産の本もつくってしまいました。 上記のものを活用しながら、最終的にはA4のノートを買ってきて、47都道府県の主な観光資源を手でまとめ直しました。ノートにまとめる作業は時間と労力がかかり、限られた時間を考えると非効率的のような気もします。時には仕事で疲れてノートを開きながら寝落ちということもありました。しかし確実に力は伸びたようで、過去問題も8割以上は正答できるようになっていました。 一次試験当日もあえて重たい本はもたずにこのノートだけを持っていきました。基準点はクリアできるだろうと。しかし、試験が始まると例年よりも難易度が上がっていることにすぐに気が付きました。少し慌てましたが、7割とればいいんだと自分に言い聞かせて時間いっぱいまでじっくりと取り組みました。その結果、何とか基準点をクリアすることができました。 勉強を通じて感じたことは、日本は本当に観光資源の豊かな魅力あふれる国であるということです。若い頃は海外にばかり目を向けてしまっていましたが、、、。一番の勉強は実際に各地を訪れて自分の足で歩くことなのでしょう。早くそのような経験を積むことができればいいなと思います。 「日本地理」以外の試験科目については後日触れたいと思います。ここまで目を通していただいた方、ありがとうございました。