全国通訳案内士一次試験の「日本歴史」
私は2021年度全国通訳案内士1次筆記試験を受験し無事通過することができました。現在は2月4日の合格発表を待っている状態です。以前他のところで書きましたが、2次口述試験がうまくいかなかったのでまったく自信はありません。たぶん今年2度目のチャレンジをすることになりそうです。
さて(気を取り直して)、ここでは1次筆記試験の科目である「日本歴史」の対策として私が使った本を紹介します。
JNTO(日本政府観光局)の全国通訳案内士ガイドラインには、試験科目について次のような説明があります。
日本地理、日本歴史及び一般常識についての筆記試験は、外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する地理、歴史並びに産業、 経済、政治及び文化についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)のうち、 外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問うものとする。
ですので、以前書いた「日本地理」と同様に「日本歴史」についても観光資源にかかわる出題が中心になります。
私はもともと歴史が好きで割と得意だったこともあり、受験を決めてからは、一通り通史的なおさらいをしてから、観光資源に関わりの深い文化史や交通・産業に関することを集中して勉強するように方針を決めました。
通史的なおさらい
一通りの通史的な勉強には高校生用の参考書(日本史Bのもの)がおすすめです。受験業界は競争が激しく、質の悪いものはすぐに淘汰されていくので、あの手この手の工夫を凝らした良質な参考書が安い価格帯で次々と発売されます。
正直それほどたくさん手にとって見たわけではないのですが、数多く存在する参考書の中でも大学受験の「定番」とされるロングセラーの中から私が選んだのは、『石川晶康 日本史B講義の実況中継』(語学春秋社)です。
石川晶康氏は有名受験予備校のベテラン人気講師です。実況中継シリーズは4分冊ですべてそろえると結構な厚みがありますが、読者に語りかけるようなライブ感のある分かりやすい説明と、時折挟み込んでくるユーモア(毒舌?)でおもしろく勉強を進められる工夫があります。付録の音声CDには要所ごとのまとめ的な著者の語りが収められていて、私は通勤中にたびたび聴いておりました。もう一つの付録の講義ノートという小冊子には年表を含めたまとめが載せられています。これだけの内容で1冊あたり1,320〜1,430円です。受験参考書はすごい。
通史的なおさらいと同時に大学受験用のセンター試験(現在は共通テスト)過去問題に取り組みました。全国通訳案内士の試験とは出題傾向が違いますが、センター試験の過去問題でコンスタントに60点以上取っていれば、ひとつの目安となります。ガイドラインではセンター試験の日本史B60点以上で試験免除の対象となるからです(歴史能力検定2級以上も同様)。
もうひとつ試験対策に使ったのが金谷俊一郎氏の『日本史B一問一答』(東進ブックス)です。この本は記憶の定着にとても役立ちました。便利だったのは用語を頻出度によって星の数でレベル分けしてくれているところです。私は最頻出のセンターレベル(星3つ)の用語だけ集中して復習しました(問題数1,430)。
それから、もう一冊ご紹介したいのはYouTubeで人気のムンディ先生こと山﨑圭一氏(現役高校教師)の『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』(SBクリエイティブ)です。この本の特徴はストーリーの流れを重視して歴史を理解するという考えで編集されていることです。いろいろな意見があると思いますが私はとてもおもしろく読みました。ムンディ先生の授業動画もすばらしいと思います。
文化史など観光資源に関するもの
全国通訳案内士1次筆記試験には写真を使った出題も多いので図録は必携です。私は歴史教科書で有名な山川出版社の『詳説日本史図録』を購入して観光資源にかかわりのありそうなところはすべて目を通しました。すべて覚えられるわけではないのですが、教科書的な勉強では見落としがちな(というよりほとんど興味が無かった)寺社のつくりや庭園の種類などさまざまな発見がありました。アマゾンのリンク先は昨年12月に出たばかりの第9版で、QRコードから動画や画像にリンクしていろいろ見られるようになったようです。私は前の版を持っていますが新版が良さそうなら買い換えようかと思います。前ページカラーで千円以下なのはやはりありがたいです。
以上、私が試験対策で使用した本を紹介しました。ほとんど大学受験生のような勉強です^^;
全国通訳案内士の「日本歴史」はガイドラインにあるようにあくまで「観光資源」にかかわる出題が中心なので出題傾向が少し違います。これから受験を考えてらっしゃる方はまず過去問題をご覧になることをおすすめします。試験方式は日本地理と同じで、全問マークシート・試験時間40分・問題数40問程度・地図や写真を使った問題を含む・満点100点のうち、合格基準点は70点となっています。
受験予定の方の少しでもお役に立てたところがあれば幸いです(というか自分も今後再受験の可能性あり)。お読みいただきありがとうございました。